昔から受け継がれてきた 製造部の技
小川生薬の長い年月の中で培い、現代にまで受け継いできた生薬加工に関する技術力やノウハウを少しだけですが、ご紹介したいと思います。
1925年(大正14年)に徳島県で創業を開始した小川生薬は、四国山地と讃岐山脈に囲まれた生薬製造業にとって非常に恵まれた環境のもと、地元に根付き、生薬の全国発信に向かって着実に進んできました。 そして現在では、これまでに培ってきた独自の加工技術を、最新の製造機械に融合してさらに発展し、この生薬製造業界でも一定の役割をになえるようになりました。
小川生薬は、柔軟にお客様のお声に対応するために、培ってきた技術や歴史を重んじながらも新たなチャレンジに取り組みたいと思っております。 現代において日々解明されていく科学的なエビデンスと、今まで小川生薬が築き上げてきた知見を互いに補いながら考察し、製品の製造へとリンクさせていくことが重要であると考えています。 小川生薬 製造部の製品作りの工程 小川生薬製造部の基本製造技術を一つ一つ紐解いていきます。裁断(カット)
ひとことに裁断といっても、原料や最終的な商品の形態により、適切な裁断方法は異なります。小川生薬には様々な種類の裁断機がそろっており、裁断機のタイプや刻む大きさを選びます。 収穫された生薬原料は、品質を保つ意味での鉄則として入荷した日のうちに加工を施します。そして、最初の加工となるのがこの裁断処理になります。 裁断を施すことによって、その後の工程である乾燥をスムーズにします。 裁断による原料の形状の加工は、例えば裁断する大きさだけでも何通りもの可能性があります。原料の成分には揮発しやすい成分もあり、そういった場合には大きめの裁断を行い、できるだけ断片1つあたりの断面積を少なくします。乾きにくいものや湿気を吸いやすいものは細かく刻みよく乾燥させます。また、裁断する原料の堅さや物性によって鋭く裁断する、砕くように裁断するなどの方式も変わってきます。原料の性質や成分に沿った最適な裁断を行い、なおかつ後の加工工程を効率的にすることが製品の品質を高レベルにするポイントです。乾燥
素早く原料の乾燥を行うことで品質の劣化を防ぎます。 原料によっては、なかなか乾燥が進まないものもあります。そのようなときは乾燥中にこまめに原料をかくはんすることで乾燥のムラを防ぎ、原料を素早く乾燥させることが出来ます。 この乾燥工程で一番注意することは、どこまで乾燥させるかという点です。乾燥が不十分である場合、カビが発生する等製品の品質の劣化を招いてしまいます。かといって過剰な乾燥をしてしまうと、成分が分解あるいは揮発して薄くなり、香味なども飛んでしまい、やはり製品としての魅力を失ってしまいます。 生薬原料によって最適な乾燥があります。しかし、季節や気候によって乾燥をおこなう作業時間も変わってきますので、熟練の技が試される作業です。選別
生薬は自然豊かな環境でうまれる天然のものですから、他の植物等の異物が混入していることがあります。選別作業は製品作りにおいて欠かせません。 小川生薬は選別機器も多様にそろえています。 ・電動ふるい(大きさによって原料を選別できる機械) ・とうみ(送風して重さによって選別できる機械) ・静電気選別機(静電気によって選別できる機械) ・X線選別機(X線で固い異物を感知してはじく機械) しかし、人の目による選別が最も確かなものであり、最後は必ず人の手で選別します。焙煎
ともすれば、飲みにくくなりがちな健康茶づくりにおいて、飲みやすさを実現するために、焙煎の工程は製造過程の生命線ともいえます。そのために小川生薬では日本茶の製造メーカーにも採用されている、とても繊細な温度管理が可能である焙煎装置を導入しています。 さらに、小型で同じ仕様の焙煎装置が研究開発室に導入されており、商品開発時により多くの焙煎方法を実際にテストできることにより、確実な研究結果を導き出すことが出来ます。 加工する原料、作る製品によって焙煎の温度はもちろん異なります。各原料に最も相応しい焙煎温度を追求して調べることができ、そしてその結果を再現した製品づくりすることができる体勢を取っています。小川生薬 製造部署の製品作りの工程(特殊な加工)
一部の原料については、蒸し工程や薄くスライスする機械を使用します。
水洗いスライサー
水洗い装置は、強力な水圧と回転するブラシの両方の力を使って原材料についている泥等を強力に落とします。 生姜やごぼうなど主に土の中で育った原料に対して使われます。 水洗いで泥を綺麗に落とした原料は、そのままの状態でスライサーを通って、薄くスライスされて装置から出てきます。蒸し機
小川生薬の蒸し機は、他では見られないほど非常に長い時間まで蒸し処理ができる特別仕様の蒸し機です。 加熱によるプロセスが有効な原料について、この蒸し機が使われます。 例えば生姜に含まれるショウガオールという成分は加熱することによって増加することが分かっています。その他、青汁シリーズに使用しているくせのある原料も飲みやすい味に仕上げるために蒸し処理を施しています。柿の葉のビタミンCは他のどの加熱方法よりも蒸した方が多く残存することが研究で報告されています。それでは次に、これらの加工技術をつかって実際に製品を作っている例をご紹介いたします。