Ogawa Crude Laboratory

阿波晩茶プロジェクト

阿波晩茶とは

阿波晩茶とは徳島の地でつくられ現代にまで伝えられてきた乳酸発酵茶の総称で、上勝や相生町の特産品にもなっています。 阿波晩茶の阿波とは、現在の徳島県が相当する旧国の名前です。 このお茶の特徴として、黄金色に輝く色と少し甘みのある独特の香り、ほのかな酸味があります。また、茶葉を漬物のように漬け込んで発酵させるといった独特の製法で作られています。そして使用する茶葉は発酵の途中で茶葉が溶けてしまわないように十分に生長させた葉を使います。生長した茶葉はカフェインが少なくなるといった特徴があります。

番茶? それとも晩茶?

番茶は、新茶を春に摘み取った後、夏以降に収穫する三番茶、四番茶などから規格外としてはじかれる茶葉が使われます。番外のお茶、普段用のお茶という意味で番茶と呼ばれています。 阿波晩茶の場合、新茶を収穫せずにそのまま夏まで生長させた葉を使います。さらに、茶葉を一度、漬物のように漬け樽に漬け込み、重石をして発酵させるといった他に例をみない特殊な製法で作られているため、番茶とは区別して“晩茶”という表記が使われます。晩茶に使われる茶葉は、春ではなく夏以降の時期に収穫するため、遅い時期である“晩”という意味も込められています。

現代に注目される阿波晩茶

最近の研究によって阿波晩茶について様々な効能があることが分かってきました。 阿波晩茶の伝統的な製法や珍しさ、伝えられている効能や研究で明らかにされてきたことなどはテレビ番組でも度々、取り上げられるようになりました。

徳島の伝統“宝”を伝えていく

▲管理地
▲放棄地

お茶の寿命は100年以上とされており、日本では20年~30年で植え替えが行われます。つまり20年程度は収穫ができるということです。
しかしながら、2年程度放置してしまった茶畑は草木が生い茂り、茶畑も茶葉自体の品質も低下すると言われています。

徳島は隠れたお茶の産地でもあります。しかし、現在、後継者の不足や産地の過疎化などで徳島のお茶業界は縮小傾向にあり、茶畑の耕作放棄地も年々増えてきています。 それと合わせて、製造に手間と時間がかかってしまう阿波晩茶の生産も少なくなってきており、現在では限られた地方で限られた数量だけしか生産されていません。 阿波晩茶とは全国的に見ても非常に珍しいお茶であり、守るべき地元地域の伝統です。 また、最近になって世間から注目を集める機会が増えてきたこのお茶ですが、生産量が限られているために、その存在を知る人のみで消費をしてしまい、全国に発信できていないのが現状となっています。 かつて、小川生薬が生薬の普及に取り組み、今日では全国発信にまで至ったように、この地元の阿波晩茶という素晴らしい文化を広めて後々の世代にまで守り伝えたい。 そういった社員の声からこの阿波晩茶プロジェクトは始まりました。

プロジェクトの始動

▲阿波晩茶試作 収穫
▲乾燥茶葉の匂いを嗅いでいる様子

実際に阿波晩茶を生産している農家の方や、阿波晩茶の製法等を研究している地元大学に訪問させて頂き、阿波晩茶の製法の詳細や実際の生産状況について学びました。 そして、持ち帰った情報をもとに自社で試作を行い、製法や出来あがる味の改良に努めました。 また、時には茶畑や耕作放棄地となってしまっているほ場を貸していただき、社員自らが茶葉の収穫や茶畑の修復作業を行い、栽培・収穫という面からも係わっていきました。 阿波晩茶の製造のための改良試験では、試行錯誤を繰り返し、生産率の高効率化や商品品質の安定化を追及しました。

▲阿波晩茶試作 漬け込み
▲阿波晩茶試作 煮込み(青殺工程)
▲阿波晩茶試作 研究1 (漬け込みの条件の模索)
▲阿波晩茶試作 研究2 (漬け込み中の環境調査)

2015年 製造とデータ蓄積

小川生薬公式ネットショップ(古来阿波晩茶)
http://www.ogawasyouyaku.net/SHOP/501000.html
2015年には、当社内での阿波晩茶の試作と研究の末に完成したものを自社通信販売サイトで販売しました

販売の開始直後より、たくさんのお客様からのご注文やお問い合わせを頂き、お陰様で、プロジェクトは好調な滑り出しとなりました。

また、阿波晩茶製造研究の成果として、味が異なる様々なパターンの阿波晩茶を製造することが可能となりました。
もともと農家の間で作られている阿波晩茶は各農家によって味が少しずつ異なります。これは、発酵に関わる菌の種類による違いであると考えられています。
漬け込む樽内の発酵環境を少し変えることで、酸味や風味が強い阿波晩茶から酸味弱く飲みやすい味までコントロールすることができるようになりました。
その結果、2パターンの異なる味の阿波晩茶を発売することができ、本物志向の方には阿波晩茶の本来の味わいと酸味を活かした「古来阿波晩茶」を、阿波晩茶に興味はあるが、その酸味や独特の風味が好みではない方には「小川式阿波晩茶」をご提案させて頂いております。

2016年 より広い全国発信に向けて

2016年、全国のスーパーマーケットにて阿波晩茶を発売計画しています。

徳島の伝統的なお茶・全国的にも珍しい乳酸発酵したこのお茶を 徳島の茶葉のみを使用し、地元企業である小川生薬が独自の技術をもって製造し、全国にお届けします。

コラム 商品開発者のメモ

○阿波晩茶の楽しみ方 阿波晩茶の研究過程で、わたくしたちはその製造方法とともに、さまざまな飲み方をテストしました。 その結果、高温で抽出するより、低温で抽出したほうが酸味や風味がより強く出ることが分かりました。 逆に高い温度で抽出するとスッキリとお飲み頂けます。
  • 阿波晩茶の酸味クセやアクセントが欲しい方は、
      →少し冷ましたお湯でゆっくり5分程度抽出してください。
  • スッキリと飲みたい方は、
      →お湯を一度沸騰させたあと、とろ火で3分程度抽出してください。

コラム 発酵とは? 発酵と腐敗の違い

学術的にみると発酵も腐敗も同じ現象で、共に微生物による代謝(物質変換)を言います。 結果的に微生物から代謝される物質が人にとって良いものである場合を発酵、悪いものが作られる場合を腐敗と呼び、区別しています。