生薬の歴史と今
その昔、人々の悩みを解決したり、憂いを取り払う人たちがいました。
日本にもそういった概念が伝えられ、大宝律令の律の一つとして医療が定められました。
これが日本の医療制度の起源と言われています。そのころの医術は針治療や、薬用植物の利用などがあり、これらは現代にまで伝えられています。
生薬とは、生きた薬、英語ではCrude drugsと呼ばれています。日本語でも英語でも“天然の、未加工の薬“という意味を持ちます。
今までの長い歴史からの経験により示され、現代にまで伝えられた薬草、或いはそれらを単純加工したものを示します。
この生薬は有効成分そのものではないため、薬のようにシャープな効き目を示すことはありません。しかしながら、副作用も鋭く起こすことはありません。先人達の知恵と今まで伝えられてきたという安全性があります。
徳島県吉野川流域のいわゆる中山間地域へ生活物資を運び、引き換えに薬草類などと交換し、それを問屋に卸していたのが当社の始まりです。
現在では、生薬やその知見を日常のライフスタイルに取り込みやすくできるような商品を開発、全国へ発信し、ご提案させていただいています。
近代になると、科学や医学は急速に発展しました。
昭和の始めでは、薬事法により当時40万以上出回っていた薬は6,000種に統合されました。
さらに、ワクチンや抗生物質の登場により感染症の時代は終わったとまで言われました。
しかし、急速な経済成長のなかで工業的な要因による公害が多く見られるようになり、近代科学や化学物質に不信を抱かせることとなりました。そして、健康食や天然の未加工のものへふたたび注目が高まるようになりました。
現代になり、健康志向への関心はさらに高まっています。未病という考え方が見直されたり、健康寿命という言葉が一般普及し、80歳を超える高齢の方でも“元気でもっと長生きしたい”という声があるほど健康に対して積極的な時代となりました。
そんな時代背景に伴い、健康になるための手段や方法についてのサービスも活発になり、天然そのままの食品や生薬にも再び注目が集まっています。
生薬や健康茶の世界は先人達の経験則で成り立ってきました。 昔の人の実体験をもとにしたデータが蓄積され、現代にも息づくものとなっています。 そして、先人達からのこれらの贈り物は現代科学、医学の足がけとなったり、その他にも民間治療や健康療法などとして私たちの生活に溶け込んでおり、無くてはならないものとなっています。 しかしながらそのことにより、経験則から成り立ってきた理論は、作用する原理があいまいであったり、様々な成分が作用しているためにその原理を解明することが難しいなど不明確な要素が多い分野でもあります。 その反面、現代の加工技術を用いることで、より良いもの、より現代の嗜好或いは生活習慣に適したものを作ることができる余地が残されており、それはこの分野の大きな魅力と可能性でもあります。
小川生薬でも、薬草類の国内栽培や、現代の加工技術を取り入れた既存商品の改良研究など、これまでにはなかった取り組みへの挑戦を始めました。