阿波晩茶の植物性乳酸菌
植物性乳酸菌は動物性乳酸菌に比べて環境適応能力に優れ、日本人に合った乳酸菌だと言われています。
一口に乳酸菌と言っても、確認されているだけで200種類以上もあると報告されています。また、学術的な分類ではありませんが、乳酸菌には生きてきた環境の差から動物由来と植物由来に分けて考えられます。
- 動物性乳酸菌とは…ミルクなど動物性の栄養分の中で生きてきた乳酸菌です。 ヨーグルトやチーズの中に見られます。
- 植物性乳酸菌とは…植物に由来する環境で生きてきた乳酸菌です。 漬物や味噌、醤油、日本酒、発酵茶などに見られます。
○動物性乳酸菌と植物性乳酸菌の違い
動物性乳酸菌が栄養分とするミルク成分には、刺激物など含まれていないことはもちろん、栄養面でも完璧であると言えます。 一方、植物性乳酸菌が栄養分とする植物由来の成分については、植物が傷ついて初めて得られるものであり、さらに植物自体が自分を守るためにタンニン、カテキン、アルカロイド類、など細菌の生育に悪影響を及ぼす成分が含まれます。それ故、動物性乳酸菌と比べ恵まれない環境に生きているといえます。 このことから、植物性乳酸菌は環境適応能力に優れていると考えられます。 昔の日本には発酵乳製品を摂取するといった習慣は無く、植物性乳酸菌との繋がりの方が長いことは確かです。そのため、日本人の体に良く馴染み、安全なものであると言われています。○阿波晩茶の乳酸菌
阿波晩茶のような漬物茶について、乳酸菌が主要な有用菌であることが報告されています。 それというもの、先人たちの知恵により阿波晩茶の製法が乳酸菌が有利になるように作られてるためであり、現代の科学的な視点から見ても非常に理に適っていると敬服の意を覚えます。①茶葉を煮ることにより青殺します
雑菌を殺菌し、茶葉にもともとある酵素を止めます。
②茹でた茶葉を擦り、揉捻します
後の工程で発酵させるため、
菌が増殖しやすいように細胞に傷を付け栄養分を出しやすくします。
③茶葉を樽にきつく漬け込み、重石し、煮汁を加えて空気を完全に遮断します
空気に触れさせないことで乳酸菌など生育のために酸素が必要ない菌にとって有利な環境に偏ります。
④10日から長いもので1ヶ月ほど発酵させます
漬け汁にタンニンなど有害菌の増殖を阻害する物質が含まれますが、この効果を受け付けない乳酸菌がいるため、さらに乳酸菌が優勢になります。
漬け込んだ環境はミルク成分ほど栄養がなく、タンニンなど刺激物もあるため環境対応能力が強い植物性乳酸菌が増殖します。